こんにちは!
ハッピースマイル南堀江です
今日は、ハッピースマイル南堀江の言語聴覚士から、
『インリアルアプローチ』についてお話ししたいと思います。
『インリアルアプローチ』とは、言葉の発達を語用論的側面から促す、支援方法の一つです。
語用論とは、話し手の意図する意味を、
言語表現に託して、話し手から聞き手へと
情報を伝えることをいいます。
難しい表現なので、例を出してみます
例えば、午後から雨が降る日に、
「今日は午後から雨らしいよ」と伝えれば、
知っている情報の伝達となります。
ですが、こどもが外出する際に、
「行ってくるね」
「今日は午後から雨らしいよ」
と伝えると、同じ文でも、
“午後から雨が降るらしいから、傘を持って行ったほうがいいよ”という意味が含まれます。
このように、文脈や知識、常識などの情報に応じて話し手の伝えたい内容の意図が変化すること、
さらに、聞き手が解釈することを、語用論と言います。
まだまだ経験が少ない子どもたちは、
大人が当たり前だと思っている常識や知識も身についていなければ、
わかっていても、社会における言葉の使われ方は複雑で、
推測を含む意味理解が苦手な場合もあります。
そんな苦手を伸ばすための一つのアプローチとして、『インリアルアプローチ』があります。
インリアルアプローチには、SOULの基本姿勢というものがあります。
S(Silence) 静かに見守る
:子どもが場面に慣れ、
自らが行動を始められるまで静かに見守る
O(Observation) よく観察する
:何を考え、何をしているかをよく観察する
コミュニケーション能力・情緒・社会性・
認知・運動などの能力や状態を観察する
U(Understanding) 深く理解する
:観察し、感じたことから、
子どものコミュニケーション問題について
理解し、何が援助できるか考える
L(Listening) 耳を傾ける
:こどもの言葉やそれ以外のサインに十分、
耳を傾ける
と、それぞれの頭文字をとったこの4つになります。
そして、これらを基本の姿勢とした上で、
1.子どもの行動をそのまま真似る
(Mirroring/ミラーリング)
2.子どもの行動や気持ちを言葉にする
(Parallel Talk/パラレルトーク)
3.大人の気持ちや行動を言葉にする
(Self Talk/セルフトーク)
4.子どもの声や言葉をそのまま真似る
(Monitoring/モニタリング)
5.子どもの言葉を言い直して聞かせる
(Reflecting/リフレクティング)
6.子どもの言葉を広げて返す
(Expansion/エクスペンション)
7.子どもに会話のモデルを示す
(Modeling/モデリング)
と、7つの関わり方があります。
実際に、ハッピースマイル南堀江の児童発達支援では、活動や個別の療育だけでなく、普段の自由遊びから、この関わり方を意識して接しています。
例えば、来所してすぐに子どもがカバンの車の絵を指差して「ブーブー」と伝えると、
支援員は、「ブーブーだ!車だ!格好いいね!」と伝えます。
ここには、言葉を繰り返し、意味通りに受け取ること、
さりげなく幼児語ではない、成人語(ここにおける車)へと変換して聞かせること、
大人の気持ちを言葉で聞かせること
の、3つが含まれています。
また、何も指さずに「ブーブー!」と車好きの子が言った場合には、
支援員は、「ブーブーしたいね、手を洗ったらブーブーで遊ぼうね」と、伝えます。
ここでは、子どもの気持ちを言葉にする、発語を広げて返す、などが含まれています。
支援員の発話のとしては、
来所後のルーティンをするお約束と、
お約束を守れたらやりたい遊びを楽しもうねという意図が含まれています。
このように、子どもの表現の仕方が違うことで、
相手も受け取り方が変わってくることを
体験して、理解してもらいます。
まだ発声のみの子でも
子どもが、支援員と目を合わせ、
「アー、ウー」と言うと、
支援員も「アー、ウー」とそのまま真似てみます。
するとこどもは、”声を出すと相手が反応する”
ということに気づき、楽しくて繰り返してみたり、笑顔が出たり、
さらに支援員と関わろうとスキンシップをとったり、声を出したり、、、
その子によって様々な反応や変化があり、
コミュニケーションの意欲が高まっていくことがわかります
スタート目安は、身の周りの事物や状況の認識ができるようになってきた発達の段階における子たちです。
完全にできていなくとも、でき始めてきたという段階で、早期から取り入れていくことがポイントです!!
インリアルアプローチを用いて接することにより、
子どもたちは、少しずつ自信がつくようで、
どんどん理解語彙が増え、コミュニケーションがとりやすくなっています。
また、子どもたちからの自発的な働きかけや、発声・発語が促進されている傾向もあります
どれも、すぐに結果が出る訳ではないですが、
何度も繰り返し、働きかけ続けることで、
子どもたちは大人の知らない間に色々なコミュニケーション方法を
どんどんと吸収していきます。
言葉には順序があり、理解が先、表出が後になります。
言葉の貯金箱がパンパンに溜まった時、
たくさんの語彙が溢れるように表出します。
きっと、一人一人言葉が溢れ出るタイミングは違いますが、
少しでもたくさんの言葉に触れて、
コミュニケーションの楽しさや便利さを知り、
コミュニケーション意欲や社会性を高められるような
支援をしていきたいと考えています。
今日は聴き馴染みのない言葉が多い中で、
且つ、大変長くなりましたが、
最後までご拝読いただき、ありがとうございました。
お家での関わりの中でも
活用できる場面があると思いますので、
使えそうだなあと感じていただけましたら
少しずつ、試してみてください
ハッピースマイル南堀江では、随時、
見学・体験を受け付けています♪
お気軽にご連絡ください